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c. 車内流動性
後車軸上の通路幅を500mmとしたものでは、1人そこに立っていると横を体の接触なしにすり抜けるのは困難で、不評であった。700mmにすると、ややすり抜けが楽になるが、逆にその部分に2人立つと壁になり窮屈になる可能性も指摘された(図3.1.11参照)。
後扉の有効性については、3扉の場合、後車軸より後部の人にとっては、その存在が大変役立っていた。しかし恩恵に預かれるのは10名弱である。一方、車内がやや混雑した状態において、一番後ろから前へ(あるいはその逆)の移動をさせてみると、やはり通路幅500mmではつらく、700mmとしても、あまり大きな改善は見られなかった。以上から、ノンステップ車の前後扉仕様については、当初の予想通り、通路幅がネックになり、課題が多いように思われた。手すり、つり革の位置で、立席者の位置を誘導できればよいかもしれないが、それ以上混雑すると苦しいようである。
d. 車いす用スロープ
車いす用スロープについては、介助者(または運転手)の負担を考えると、角度もさることながら、長さも負担度合いに大きく寄与することがわかった。
長さは、車外に出る部分と歩道の幅との関係にも制約を受けるが、800mm、10度以下というのが一つの目安と考えられた(図3.1−12参照)。
(4)まとめ
実物大モデルを用いて、路線バスの乗降性・車内レイアウトデザインについての実験的検討を行った。その結果、低床化により車内レイアウト等に制約を受けることになるものの、ノンステップ型とすることで、「乗客へのやさしさ」がかなり向上することが、わかった。

 

 

 

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